私たち暴走族と名乗ってもいいですか?(下)
紫炎から逃げ出して2週間。
兄貴が探してるのか紫炎から追手が来ることもあったけど、所詮薬をやってる奴ら。
苦戦しつつも捕まることはなかった。
でも、逃げ出してからこの方ろくに寝ても食べてもない。
体の方が限界になりそうだった。
食べれない、寝れないストレスでイライラしたまま街の裏を歩く。
どうしようもなくイライラして、誰でもいいから女に拾ってもらおうかと考えて表通りに向かっていた。
「っひ!?」
変な悲鳴に顔を上げると、いかにも真面目そうな奴が走って来て、俺を涙目で見つめてくる。
…もし、ばあちゃんとじいちゃんがいたら、俺もあんな風になれていたのか…?
「む…」
視線を向けるとそいつは震えあがって、走ってきた方向を指さす。
「むこうに、お金持ってる子いるんでっ!か、彼からもらってください!!」
そいつは一気にそう言うと、また走り出す。
だけど、どうしようもなくイライラした感情がその言葉で逆なでされて、走って近づいてきたそいつを蹴り飛ばした。
壁にぶつかって倒れたそいつを無視してまた歩き出す。
誰か向こうにいんなら、そいつからなんかもらうか。