私たち暴走族と名乗ってもいいですか?(下)

 男の方は舌打ちしながらも笑う。気持ち悪いと思ったのは隠す。

「ッチ、しょうがねぇな…。なんだ、この女が欲しいのか?」

「は?何言ってんだよ」

「あ?」

 女の子の腕を掴んで一気に引き寄せる。

 それと同時に、女の子が離れて露わになった男の腹に思いっきり蹴りを入れる。

 女の子を腕の中に入れた頃には、男は無様に倒れる。

 っは、ざまぁみろ。

 女の子は目をぱちぱちして、俺を見上げてくる。

 口開いてるし、なんかかわいい。

 こんな状況じゃなきゃ、遠慮なくいただいてるとこかな…。

 まぁ、冗談は置いといて、女の子の肩に腕を回して笑いかける。

「こんな時間に、こんなとこ歩いてちゃダメでしょ。襲われるよ」

「…じゅ、塾の帰り…」

「え?…あぁ、まじめちゃんだね~。そっちの男、キミの連れ?」

「…うん」

「ふ~ん。いい男だね」

 男の方を見ると、睨んで来たから笑っといた。

 おぉこわ。この子の彼氏とか。ありえるな。
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