私たち暴走族と名乗ってもいいですか?(下)

 で、俺はどこに行けばいいんだ?

 …今のうちに消えるとくか。玄関を目指そうとしたところに女の子が顔を出す。

 うわぁ、すげぇタイミング。

「こっち来て」

「え、あぁ…うん」

 何となく断れなくて女の子に誘われるままに部屋に入る。

 ソファーを勧められて座るけど、なんか女の子に凝視されて落ち着かねぇ。

「手、出して」

「は?」

「瞬、押さえてて」

「…そういうことな」

 女の子の目が変わった気がした。男の方もなんか納得して、両肩を押さえつけられる。

 …は?ちょ、なんか、女の子がガーゼとか持って近づいてくんの怖いんですけど。

 逃げるか?マジで逃げるが勝ちか!?

 とか思ってる間に、女の子の持ってたガーゼが傷に押さえつけられる。

「ッ~いってぇ!!」

「うわ!?ちょっと!暴れるな!!」

 なんでいきなり強気な発言になっちゃってんだよ!?

 問答無用で消毒しようとして来る女の子にストップをかけようとしたけど、男に押さえられて動けねぇ!?

「待って!まじで痛いから!!」

 叫んだら、何言ってんだと言わんばかりの目で睨まれる。

 この子、マジでなんなんだよ!!?
< 223 / 341 >

この作品をシェア

pagetop