私たち暴走族と名乗ってもいいですか?(下)

 走って、走って。

 もう女の子が追いかけてきてないのも確認して、足を止めた。

 …はぁ、疲れた。ああいうのには気をつけねぇとな。

 夜の街を歩く。

 いつもと変わらない景色、風。

 …なのに、心の奥にぽっかり空いた何かが気持ち悪い。

 なんだよこれ。なんで、こんな空しいなんて思ってんだよ。

 勝手に視界が歪む。女の子の顔が頭に浮かんで、涙がこぼれていく。

「…んでっ」

 なんで、こんな苦しんだよ。意味わかんねぇだろ。

 ちょっと優しくされたぐらいで、こんな…。こんな、弱ってんじゃねぇよ。

 どっかの家の塀に体を預けて、歯を噛みしめて涙を止めようとするのに、勝手に流れ落ちていく。

 なんでだよ、くっそ…。
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