私たち暴走族と名乗ってもいいですか?(下)

「っぐは」

「はぁ、はぁ…」

 最後の1人を倒して、息を整える。

 あれからあちこちでケンカをしまくった。

 売られたケンカはもちろん買ったし、わざとケンカを吹っかけたりした。

 ケンカをしてなきゃ、やってられなかった。

 あの子のことを思い出すと勝手に泣けて来て、どうしようもなかったからとにかく暴れまくった。

 ゆっくり立ち上がって、次を目指す。

 胸の奥の空っぽは全然埋まらねぇし、むしろ広がってる気もする。

 なんでだよ。なんで、埋まらねぇんだよ。

 なんで、忘れねぇんだよ。

 もう嫌だ。なんで、なんでこんな弱くなってんだよ…。

 ふらふらする足を引きずって歩く。

 どこかに行きたい。あの子のことを忘れたい。

 こんなことになるならいっそ、間になんか入らなきゃよかった。

 後悔ばっかしてる頭に突然衝撃が走る。

 …は?気づいた時には倒れていて、顔を上げるとどっかで見たことあるような奴らに囲まれた。

「あんときの借り、返させてもらうぜ」

「ッが」

 もう、どことか言ってらんねぇぐらい、あちこちに衝撃が走っていく。

 バカみたいな笑い声が遠くで聞こえる。

 くっそ、こんな奴らに後ろ取られて気付ねぇとか、どんだけ鈍ってんだよ…。

 散々殴られて、蹴られて、知らねぇうちに意識が飛んだ。
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