私たち暴走族と名乗ってもいいですか?(下)

「…う」

「あ、夏樹くん?分かる??」

 なんだ…。女の…声?

 徐々に視界がはっきりしてくる。

 目の前にいたのは…あの時の女の子だ。…。

「…ッ!?」

 なんで、あの女の子が!?つうか、ここどこだ…。

 見たことねぇ部屋だし。俺、どうしたんだっけ…。

 後ろから殴られて、袋にされて…。そのまま気絶してたはず。

 なのに、なんでここにいるんだ…?

 でも、とりあえず危険がないことにホッとすると力が抜ける。

 何かに受け止められて、顔を上げると女の子が俺を見てて、なんか安心した。

「…なんで、いるの?」

「夏樹くん、商店街の人たちに抱えられてきたんだよ。覚えてない?」

「…」

 商店街…?ダメだ。全然覚えてねぇ。

 女の子の手が頭を撫でてくる。

 あぁ、やべぇ。勝手に視界が歪んでいく。
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