私たち暴走族と名乗ってもいいですか？(下)

「どうするつもり？このまま退け続けても…」

「分かってる。だから、こっちから行く」

「…戻って来れるの？」

「なんだよ。心配してんのか？」

　おちゃらけた様に笑う夏樹。

　でも、実際全然笑えない。

　自分から出向くなんて馬鹿だとしか言えない。

　だけど、夏樹の居場所がばれてしまった以上、ここにいつ彼らの襲撃が来てもおかしくない。

　夏樹の選択は間違ってない。

　…分かってる。だけど、こんな危険なこと…。

「んな顔すんじゃねぇよ」

　頭に感じた重みと、呆れた声。

　顔を上げると夏樹が不服そうな顔をしてる。

「秋奈と瞬桜だけには絶対に言うなよ」

「…分かってる」

「あと、俺が戻って来なくても居場所言うなよ。…秋奈、本気で来そうだし」

「言うわけない。…言えない」

「…まぁ、だよなぁ」