私たち暴走族と名乗ってもいいですか?(下)

忠告


「きな?…秋奈!しっかりしろ」

「…ん」

「よかった。怪我は…」

 …ここ、どこ。なんでお父さんが…。

 さっきまで、誰といたんだっけ…。えっと…。

「…ッ夏!?」

 起き上がって周りを見るけど、夏らしき人はどこにもいない。

 それどころか、私とお父さん以外誰もいない。

 あれ、ここお店の裏だ…。さっきまで、夏と初めて会った路地裏にいたのに。

「あ、秋奈、声が戻ったのか!?」

「え、あ…あぁ、うん。記憶も全部戻ってる」

「え?…何があったんだ。こんなとこで寝たりして」

「…夏を探してたら、不良に絡まれて、それで思い出して…。夏が助けてくれて、でも、夏またどこかに…」

 すぐそばにいたのに、なんで気絶して手を掴んでなかったんだ。

 夏を連れ戻せたかもしれないのに…。

 手を握る。

 さっきまで夏に触れていた手を、強く。
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