私たち暴走族と名乗ってもいいですか?(下)
夏樹が何かを隠してることは知ってた。
だから、興味本位で調べてしまった。
それを知ったのは、知り合って結構間もない頃。
問い詰めたらあっさり吐いた。
だけど、絶対に秋奈と瞬桜には言わないでほしいと頼み込まれた。
それからだ。2人に気づかれないようにしながらも、夏樹のことを探してる人たちの目を欺く手伝いを始めた。
結構完璧に隠せていたはずなのに、ついこの間のクレーマーを撃退した時にバカなことに夏樹の写真を流出させてしまった。
そのせいでこれまでの苦労を台無しにしてしまった。
「…夏樹、ごめん」
「は?なんで六花が謝るんだよ。気持ちわりぃ」
「私が、写真を…」
「…六花のせいじゃねぇよ。俺が悪いんだよ。…全部放置して、逃げた俺のせい」
ぼんやりと空を見上げる夏樹の顔は何を考えてるか分からない。
でも、悲しそうだった。