私たち暴走族と名乗ってもいいですか?(下)
「…とは言っても、あんたは止まらねぇんだろうな」
「…」
もう、独り言はおしまいなのかな。
直斗さんの視線は完全に私を見てるし…。見つめ返せばばっちり視線は重なる。
「でも、これは俺からも言える。やめとけ。あんなチームに踏み込むようなまねだけはするんじゃねぇよ」
「…直斗さんは、なんで私を上だと見るの?」
視線を重ねたまま、口を開く。
直斗さんは案の定、眉を潜める。
「話、逸れてますよ」
「いいから答えて。ケンカでは私はあなたには敵わない。…ううん、みんなよりずっと弱い。だって、その紫炎に乗り込まれたとき、真っ先に逃げろって言われるんだもん。それくらい弱い奴の下に、なんでいるの」
多分、直斗さんはトーマスと同じ。
どこかの暴走族の総長。もしくは、それと同等に近い位置にいたことがあると思う。
トーマスとはタイプは違うけど、なんか似たところがある。
なのに、どうしてここに留まるのか…。
直斗さんはしばらく私を見つめた後、大きなため息をつく。