私たち暴走族と名乗ってもいいですか?(下)

「秋奈、そんなのどうするの」

「文化祭の劇で使うの!で、演出で折ったり血のりつけたりするから、新品買うのもったいないでしょ?」

 母ちゃんの乱入にも臆さない姉ちゃんは一気に言って、また俺を見てくる。

 高校の文化祭って、結構本格的なんだな…。

「別にいいけど、処分は自分でやってよ」

「ありがと、春ちゃん!」

 いきなり抱きついて来るなぁ!!

 姉ちゃんの腕を何とか逃れて2階に上がる。

 なんで母ちゃんまでついて来てんだよ!!

 部屋に入って、クローゼットの奥から引っ張りだす。

 ビニールひもで縛ってまとめた奴10本くらい。長さバラバラだし、年季も値段もまるで違う。

「え、こんなにあったんだ」

「じいちゃん家遊びに行くたびにくれるから」

「でも、これ本当にいいの?」

「気に入ったのはじいちゃんの道場に置いてあるからいいけど」

 母ちゃんのいる前で本当の場所は言えない。

 即焼き芋の燃料にされそうだしな。

 姉ちゃんはひもを切って、その中から5本を選んで持ち上げる。

 流石と言うかなんというか。適当に入ってたなかでも結構強いやつばっかだ。
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