私たち暴走族と名乗ってもいいですか?(下)

「全部持って行かないの?」

「え?あぁ、流石に一気には持っていけないから」

 5本だけ持って立ち上がった姉ちゃんはありがとって笑って、自分の部屋に入って行く。

 …母ちゃん連れてって欲しかった。

「春馬?」

「…別にいいだろ。素振りとかで使えるんだから」

「もう、もう貰って来ないでよ」

 母ちゃんはさらに怒ったまま1階に下りていく。

 はぁ、姉ちゃんが怪我してから過保護っぷりが増した気がする。今までも何となく過保護らしいとこはあったけど。

 ため息をつくと、姉ちゃんが制服のまま、背中に竹刀袋を背負って出てくる。

「え、姉ちゃんまさか今から学校行くのかよ」

「劇の練習抜け出してきたからね」

「はぁ?それなのに志季行ってたの?」

「…うん。大分行ってなかったから様子見にね」

 姉ちゃんってこんなアクティブだったっけ?前はもっとのんびりしてたと思うけど…。
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