私たち暴走族と名乗ってもいいですか?(下)
階段を下りて行こうとした姉ちゃんは不意に途中で足を止める。
「…春ちゃん、もし、志季の誰かが訪ねてきたら、ごめんって言っといてくれないかな」
「え?」
こっちを見ないまま、姉ちゃんはいきなりそんなことを言う。
ごめんって、なんだそれ。
「なんでごめんなのさ」
「…今まで、まともに行けなかったからさ」
姉ちゃん…?なんか様子が変な気がする。
それに、今志季に行ってきたんじゃなかったのかよ。
「…自分で謝りなよ。そんなの」
「…そうだね。忘れて」
振り返った姉ちゃんは笑って、また階段を降りていく。
そのまま玄関から飛び出して行った。
「…はぁ。勉強するか」
自分の部屋に入って、カバンの中から参考書とかを一気に取り出して机に置く。
さっきわかんなかった問題とまた格闘し始めた。
春馬side END