私たち暴走族と名乗ってもいいですか?(下)
10.帰りたい場所
制裁 夏樹side
目が覚めた倉庫はまだ静かで、思わずほっとする。
誰もいない幹部室。まぁ、他の部屋に全員居るんだろうけど。
冷蔵庫を開けると、酒ばっか出てきて水1本探すのも苦労する。
それを口にして、思わず咳き込んだ。
「ッ…酒かよ」
しかもスゲー強いやつ。誰だよこんなの置いた奴は…。
まともな飲み物はなくて、仕方なく部屋を出る。
倉庫はまだ静かで、朝日が差し込んでるって言うのに寝てる奴の方が多い。
「…もう3時だけど」
昼と夜が逆転しているような世界。
1か月経ってるって言うのに、いまだに変な感じがする。
3時なら、もうすぐ6限だな。なんて、学校のことを考える。
『一緒に卒業しようね』
…俺は、何個秋奈との約束を破っていくんだろう。
些細なことも、たくさん約束したのに。