私たち暴走族と名乗ってもいいですか?(下)

「…」

「あれ、キレちゃった?」

 15分くらいして入って来たのは、細い奴。

 時々ここに来るけど、すぐ帰ってく奴。

 いつも無表情だけど、今日は本当に表情がない。

 リツキは慣れた様子でどこからか出した白い粉をそいつに投げる。

 そいつも慣れたように受け取って、懐から随分使い込んだパイプを取り出した。

 止めるとか、そんなの考える前にそれをあぶりだしたそいつに思わずため息をついて、口と鼻を覆う。

 リツキもさりげなく同じことをしてやがる。

 お前が渡す癖に、自分は…。いや、俺も同じことをしてるんだ。

 責めてどうにかなるもんじゃねぇ。

 それをして、やっと少しだけ表情が戻る細い奴。

 こんなんでも、ケンカは強い。嫌な意味での強さもある。

 それを知っているからこそ、踏み込んだら二度と戻れないことも察しがつくんだ。
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