私たち暴走族と名乗ってもいいですか?(下)
保くんは、悩んで、悩んで、やっと口を開いてくれた。
『…繁華街から東に1キロくらい先にある廃倉庫。そこが紫炎のたまり場です』
『ありがとう。…保くん、これ持って八百屋さんのおじさんに見せてきて』
『え?』
渡したのは志季への推薦を示すカード。
お父さんたちが、私がいいって思った子にはこれを持たせろって渡してくれたもの。
まだ使ったことはないけど、多分お父さんなら保くんを放っておかないから。
『ごめんね。急用ができたから、私ついて行けないけど、私に教えてくれたこと、みんなに話して。情に付け込んでも何でもいいんだから』
『秋奈さん!』
急いで出て行こうとした私を呼び止めた保くんは不安な顔を浮かべていた。
『まさか、行ったりしないですよね!?あそこは…』
『分かってるよ』
多分、嘘は通じないから。
保くんの目を見て、はっきりと告げる。
保くんは息を飲んで、顔を真っ青にさせていく。