私たち暴走族と名乗ってもいいですか?(下)
『保くん、私はどのみち、行くよ。保くんに聞けなくても、どんな手を使ってでもそこに行く。…自分で帰って来れないおバカさん連れ戻したいから』
保くんのせいじゃない。
これは、私が決めたことだから。だから、自分を責めなくていいんだよ。
『このことは内緒ね。みんなに怒られちゃうから』
口に人差し指を当てて、笑う。
呆然と立ち尽くす保くんの手を引っ張ってたまり場を出て、商店街に向かわせてから急いで家に向かった。
自転車で来てなかったのは失敗だったな…。
でも、片手で携帯をいじって、電話帳から守本先生の番号へかける。
『…はい?』
『守本先生、すみません。宮田秋奈です』
『宮田さんか…。どうやら、取り戻したみたいだね。おめでとう』
『ありがとうございます。…あの、先生。お話をダメにしてしまうかもしれません』
アメリカからわざわざ来てくれた。だから、先生には伝えなきゃ。
先生は少し黙ったけど、どうしてもなんだねって苦笑交じりの声が返ってくる。
『分かった。キミの後悔につながるものは、何をしてでも断ち切るべきだと、僕は思う』
『はい。ありがとうございました。失礼します』
電話を切って、走る速度を上げる。
今、私がするべきこと…。
後悔しないために、しなきゃいけないこと。