私たち暴走族と名乗ってもいいですか?(下)

「おい」

 階段へあと少しのところで肩を掴まれる。

 振り返れば、まだ比較的まともな目をした人がいた。

「見ねぇ顔だな。ここをどこだと思ってる」

「…総長に用があって」

「あ?」

「会わせてくれませんか」

 関係ない人たちはできれば傷つけたくない。

 実力行使で行くのはできれば最終手段がいい。

 男の人はしばらく私を見つめていたけど、急に殺気づく。

 手を振り払い、距離を取れば目の前で拳が空を切る。

「あいにく、明らかに怪しい奴は総長に会わせらんねぇな」

 指を鳴らし、余裕な顔を浮かべる男の人。

 やっぱり、ダメだよね…。

 背中の袋から木刀を1本取り出す。

 その瞬間、修羅に自分を預ける。

「ヒュ~。勇ましいねぇ…。どこまでやれるか、試してやる!!」

 まっすぐ突っ込んでくるその人は拳を固めている。

 木刀を構え、目を細める。

 頭に流れ込んできたイメージの通り、体を動かし、木刀を振るう。
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