私たち暴走族と名乗ってもいいですか?(下)
「修羅、5割」
イメージより早く体が動く。
真っ先に向かってきた1人の手首を打ち、2人目への攻撃を仕掛けるついでに柄で首の後ろを叩く。
そのまま流れるように2人目の首を打ち、3人目は2人目の体で倒れたところを鳩尾を踏んで気絶させる。
出来るだけ最小限の動きで、倒した相手が簡単には起き上がれない強さで打ち込み、倒していく。
10人目を倒したところでもう向かってくる敵がいないことを察して木刀を払う。
異様に静かなこの状況。
そして、さっきまでなかったはずの強い気配。
2階に視線を向けると、見覚えのある顔がいくつかある。
その中に、泣きそうな顔でこっちを見てる夏の姿を見つけて笑いかける。
そんな顔しないで。迎えに来たよ。
夏から視線を外して、鋭い目つきで睨んでくるここの総長、山下恭也を睨む。
「この前はどうも」
挑発するように声をかければ、眉間にしわが寄ったらしい。
余裕なふりして笑みを浮かべたまま、視線をまっすぐにぶつける。