私たち暴走族と名乗ってもいいですか?(下)
リツキを振り払おうと暴れても、それ以上の力で押さえつけられて動けねぇ。
口を無理矢理開け、リツキの手に噛みつく。
一気に口の中が鉄の味で染まる。
だけど、離れた手。自由になった口を限界まで開く。
「秋奈!!!!!」
「ッ!?」
弾かれるように兄貴から視線を外した秋奈。
すぐに背後の奴に気づいて木刀を構えなおしてる。
だけど、秋奈の視界から外れた兄貴が立ち上がり、その手に握ったのは、注射器。
それをゆっくりと上げ、秋奈に狙いを定めている。
ナイフに意識が行った秋奈が背後の気配にも気づいていない。