私たち暴走族と名乗ってもいいですか?(下)

 リツキを振り払おうと暴れても、それ以上の力で押さえつけられて動けねぇ。

 口を無理矢理開け、リツキの手に噛みつく。

 一気に口の中が鉄の味で染まる。

 だけど、離れた手。自由になった口を限界まで開く。

「秋奈!!!!!」

「ッ!?」

 弾かれるように兄貴から視線を外した秋奈。

 すぐに背後の奴に気づいて木刀を構えなおしてる。

 だけど、秋奈の視界から外れた兄貴が立ち上がり、その手に握ったのは、注射器。

 それをゆっくりと上げ、秋奈に狙いを定めている。

 ナイフに意識が行った秋奈が背後の気配にも気づいていない。
< 302 / 341 >

この作品をシェア

pagetop