私たち暴走族と名乗ってもいいですか?(下)

「っ!」

「舐めた真似しやがって」

 叫ぼうとした瞬間、左頬に激痛が走った直後に2階の手すりに体を打ち付けて息が詰まる。

 リツキが赤く染まったナイフを俺に突き付けながらも下の様子に視線を向け、口角を上げる。

 つられるように下に視線を向けると、ナイフを叩き落とし、そいつも倒した秋奈は振り返ってその表情を凍りつかせる。

 まっすぐに振り下ろされる注射器を見つめ、逃げようとした秋奈は、今倒した幹部に足を掴まれてその場に倒れる。

「ッ離せ!!」

「ッ逃がすわけねぇだろ!!」

 逃げようともがく秋奈を抑え込む幹部。

 その間にも兄貴は秋奈に注射器を振り下ろすのをやめない。

「兄貴ッやめろ!!!」

 叫んだのと、秋奈の肩に注射針が突き刺さったのは同時。

 中身を入れる、押し子に兄貴が指をかける。

「やめろぉおおお!!!」

夏樹side END
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