私たち暴走族と名乗ってもいいですか?(下)

「言っただろ。俺は秋が何を選ぼうが、一緒に進んでやるって」

 今言うの反則だよ…。

 頷くだけで精いっぱいで、頭をくしゃくしゃに撫でられる。

「ひゅ~さっすが瞬桜!」

「でも、甘やかしすぎ~!」

「ッさーちゃん、ひまっち」

「あきなっち、怪我ない?」

「殴られたの?どいつ?ちょっと潰してくるわ~」

 さーちゃん何を潰すの?え、怖いんだけど…。

 ひまっちもにこにこしてるけど、ものすごく怖い。

 うん、志季って本当に不良の集まりなんだね。今初めて実感したよ。

 瞬に肩を抱かれたまま、振り返る。

 突然やって来たみんなに恭也って人も、他の人たちも驚いた顔を浮かべてる。

「で、秋奈。どういう状況?」

「え?」

「夏樹、取り返しに来たんだろ」

「せっかくここまで来たんだ。おまけを連れて帰るぞ」

 さっきの気は出したまま。

 なのに、志季の名を背負ってる背中がものすごく頼もしく見えるのはどうしてだろう。
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