私たち暴走族と名乗ってもいいですか?(下)

 挑戦的な顔で笑顔を浮かべる大貴に、冷徹な笑みを浮かべるノンタン。

 無表情だけど、その瞳には熱い闘志が込められている直斗さん。

 そして、本当に無で相手を見つめるトーマス。

 余裕な笑みを浮かべるさーちゃん。

 腕を組んでノンタンと同じように冷ややかな笑みを浮かべるひまっち。

 みんな、一緒にいたはずなのに、知らない顔をしてる。

 これが本当の彼らなんだって、心のどこかで理解する。

 立ち上がった恭也に視線を向ける。ぞろぞろと周囲を囲み始める紫炎のメンバー。

 そんな彼らをみんなは見つめ、口角を上げている。

「この前の借り、きっちり返すぜ」

「倍返しにしてやる」

 やる気満々と言わんばかりのみんな。

 恭也は何も言わないけど、乱入ってありなのかな?

 不意に背中に違和感。

 横を見れば、瞬が木刀を持ってて、背中の袋は空っぽになってる。

「あ」

「あんまこういう場面で使いたくねぇけど」

 瞬がそういうのは、瞬はあくまで剣道をしているから。

 その力は暴力のための力なんかじゃないから。

 でも、そうも言ってられないと瞬は判断して木刀を握ったんだ。
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