私たち暴走族と名乗ってもいいですか?(下)

 みんな、ごめん。…でも、ありがとう。

 気持ちを落ち着かせて、紫炎に、彼らに向き合う。

「恭也さん、仕切り直しってことでいいですか?」

「…ッチ」

 仕切り直しと言っても、立ち上がった人のほとんどが怪我してるし、実質無傷なのはリツキって人だけ。

 無言で睨み合う中、目を閉じて息を整える。

 胸の奥でうごめき続ける思考に制限を加えるため。

 みんなが示し合わせたように志季の名の入った黒ジャージを羽織っている。

 それが目印になる。

 目を開ける。

 敵と味方の判断は叩き込んだ。

 空になった袋を肩から外して床に捨て置く。

 瞬が思い出したように肩にかけてくれたジャージに袖を通し、恭也に視線を向ける。

「紫炎を潰す!行くよ!!」

「おぉ!!」

 頼もしい声と共に駆け出していくみんな。

 立ち上がった人たちがまた床に沈んでいくのを傍目に、瞬と共に恭也に切り込んでいく。

「修羅、7割!」

 思考が堕ちる。でも、己は見失わない。
< 310 / 341 >

この作品をシェア

pagetop