私たち暴走族と名乗ってもいいですか?(下)
恭也の懐に飛び込み、木刀を振り下ろす。
掴んで止められたところへ瞬が切り込みに行く。
2人同時の攻撃に恭也は舌打ちし、距離を取られる。
「てめぇ、卑怯だとは考えねぇのか!」
「卑怯?薬を持ち出したあなたに言われたくない!それに…」
それに…。
追撃し、右腕を打つ。わずかに顔を歪めた恭也の腹に向かって蹴りを出す。
「私は自分が弱いって分かってる!だから、友達を取り戻すためなら、どんなに卑怯だと罵らしたられたとしても、刀を握ってやる!!」
「ッ…」
吹っ飛ぶわけなくて、蹴りを入れた直後に自分から身を引いて、顔を上げる。
まっすぐ絡み合った視線。
手を伸ばし、笑いかける。
「夏!」
「…」
降りておいで。
自分から、ここに帰ってきて。
「迎えに来たんだよ!夏!!」
「秋…奈…」
怖がらなくていいから。
1人で抱え込まなくていいから。
だから、もう1人だなんて思わないで!