私たち暴走族と名乗ってもいいですか?(下)
「夏樹…」
「…」
恭也をまっすぐ見下ろす夏の目は迷いがない。
完全に戦意のない恭也に刀を下ろし、邪魔をしないように後ろに下がる。
「いいのか」
「うん。…これは、夏が決めることだから」
みんなを見渡せば、楽勝と言うようにみんなが余裕な笑顔で立っていた。
紫炎のメンバーで立っているのはもう、リツキしかいない。
だけど、そのリツキは2階から降りてこようともせずにただ冷たい目を私に向けていた。
「…なぜだ。…っなぜ、言う通りにしねぇ!!」
突然声を上げたのは、恭也で、動揺した目のまま、夏に怒鳴りつける。
だけど、夏は冷静で、恭也を黙って見下ろす。
「どうせお前も、俺も、ここでしか生きていけねぇんだ!なのに、なんで俺に逆らうんだ!!」
「俺は兄貴とは違う」
「あぁ!!?」
静かに告げた夏の言葉に逆上する恭也。
だけど、夏は息を吸い込むと泣きそうな目で恭也を見下ろした。