私たち暴走族と名乗ってもいいですか?(下)
「あ…兄…貴?」
「…」
ピクリとも動かない恭也。血はどんどん広がっていく。
敵も、味方も、関係なかった。
ただ誰もが目の前の光景を見つめ、呆然と動けずにいる。
「きょ、…恭也さん!!?」
「動くな」
倒れていた天然パーマの人が起き上がり、駆け出そうとしたその足元に重い弾が撃ち込まれる。
仲間にさえ銃口を向けるリツキはあまりに冷え冷えとした目で見下ろしてくる。
「紫炎総長は死んだ。よって、今から俺が総長だ」
何を、言ってるの?
この人は、何を考えているの!?
視線が交わる。ゆっくりとした動きで銃口が向けられる。
「秋!」
引き寄せられた瞬間、頬に何かがかすめていく。
引っ張られて壁にぶつかる。みんなも同じように壁に寄ってる。
でも、倒れた恭也を呆然と見下ろしている夏は呆然と立ち尽くしていて…。