私たち暴走族と名乗ってもいいですか?(下)

「ッ秋奈!!」

 背後からの声に思わず振り返ると、六花、匠くん、彗ちゃん、星くんが走って来ていた。

「バカ!!来るんじゃねぇ!!」

 トーマスの怒声が響く。リツキの銃口が向いたのは4人だ。

 4人の前まで走り、すぐにリツキに体を向ける。

 響いた音とほぼ同時に木刀を振り上げる。刹那、木刀が真っ二つに弾ける。

 でも、おかげでみんなに怪我はない。

 夏の手を引っ張って壁まで走れば、次の銃弾が来る前に逃げ切れた。

「バカ!来るまで待機してろって言っただろうが!!」

「で、でも!なんかバイクがどんどん集まって来たんだよ!!」

「な…」

 バイクって、まさか紫炎の仲間ってこと?

 絶対に逃がさないつもりなのか…。

「六花、警察は!?」

「こっちに向かってる。でも…」

 まだ来れない。相手は拳銃も薬も持ってる。拳銃なんか、そう何度も防げない。

 どうする。このままじゃ…。

 外から聞こえてくるバイクのエンジン音。

 そして、カツカツと階段を降りてくる足音が1つ。
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