私たち暴走族と名乗ってもいいですか?(下)
夏に体を向け、微笑んだ。
目が覚めたらいなくなってて、たくさんイライラして、めちゃくちゃに探し回って、2度も離れた夏が目の前にいる。
それが嬉しくて、笑っていたいのになぜか涙がこみ上げてくる。
それを飲み込んで笑う。
「おかえり、夏」
「…ただいま。秋奈」
照れくさいように頬をかいて、笑った夏はすっきりした顔で、お兄さんとちょっとは話せたのかもしれない。
…ダメだ。泣きそう。全部夏のせいだ…。
「…ッ夏!」
「え?うわ!?」
そんなに驚かなくてもいいじゃんか。
思いっきり抱き着けばビクッてなって、だけどぎこちなく抱きしめてくれる。
「ごめんな」
「ッバカ!どっか行ったら、また探してやる!!」
「…もう、行かない」
ぎゅっと抱きしめてくれる手は少しだけ震えてて、また同じだ。
誤魔化すために力いっぱい服を握って、夏の肩に顔を押し付けた。