私たち暴走族と名乗ってもいいですか?(下)
「んで!なんで…」
「高卒とらないで行くの結構リスキーだなぁって」
「でも、秋奈なら行けたんだろ?」
「…夏は、行ってほしかった?」
足を止めて振り返ると、夏は急に押し黙る。
あの騒動の後、お母さんからはめちゃくちゃ怒られけど、経歴に傷がつくとかそんなことは何もなくて、ごく普通の学校生活にまた戻った。
夏は1ヶ月も無断欠席だったから生徒指導の先生にこれでもかってくらい怒られて宿題も夏休みの分とさらに上乗せで出されてたけどね。
それでも高校生に戻れたんだ。
夏のお兄さんは頭打たれたけど意識ははっきりしてるらしく、怪我が治ったら警察が逮捕しに来るらしい。
あれから夏が会いに行ったことはないけど、それでいいんだって。
瞬とも仲直りして、夏休み前と同じような日々を送ってる。
やっと普通の生活に戻って、1番はじめにしたことはアメリカ行きの話を断ったこと。
守本先生は残念がってたけど、来年でも再来年でも待ってるからねと言ってくれた。
それで今、志季の見回りついでに夏に話したら、ものすごくびっくりされてるって状況。
夏は困ったように目じりを下げてる。