私たち暴走族と名乗ってもいいですか?(下)
たまり場に入って来た2人はどちらも背が高い。
だけど、2人とも妙に目がぎらついてると言うか、嫌な感じがする。
1人は身長の割に細くて、褪せた金色の髪はぼさぼさで傷んでるように見える。
細い目で睨まれてる印象を受ける。
そしてもう1人。
こちらも金髪だけど、結構きれいな金色で、軽くセットしているらしい。身長も高いし、体つきは平均的に見える。
だけど、この人の方が嫌な感じが強くて目を合わせたくないと思った。
「いないみたいっすね。どうします?キョウヤさん」
黙ったままたまり場の中を見渡していた2人。沈黙を破ったのは細い人の方。
キョウヤさんと呼ばれたのは怖いと思った人で、返事はしなかった。だけど、その人の視線が私たちを捉える。
その瞬間、体が震えあがりそうになったのを堪えた。
「夏樹」
「え?」
「山下夏樹を出せ」
なつ…き?なんで、夏が…。
人違いかもなんて楽観的に考える余裕はなくて、ただこの人の口から夏の名前が出たことにただ驚いた。