私たち暴走族と名乗ってもいいですか?(下)
「秋奈、逃げろ」
「え?」
「あいつらはヤバい。俺らが止めてる間に警察呼んで来い」
いつになく真剣な顔で言うノンタンとトーマスがおかしい。
今にも殴りかかりそうな覇気を出してキョウヤと言う人を睨んでる。
2人だけじゃない。みんな、目の前の人を恐れ、警戒してる。
「何ごたごた言ってんだ。あ?」
「日真里、沙緒!」
「あきなっち、行くよ!」
ノンタンの鋭い声にすぐにひまっちとさーちゃんが動く。
2人に腕を掴まれて背を向けて走り出す。
階段のすぐそば。そこに裏口がある。
迷わずそこに行ったひまっちがそのドアを開け放った。
「な…」
「あれ、女の子ばっかじゃん。へぇ、みんなかわいいね」
裏口を開けたすぐそこにいたのは茶髪で、天然パーマが入ってるらしい男の人。
私たちを見る目はどこか怪しくて、舌なめずりをする彼に悪寒が走る。