私たち暴走族と名乗ってもいいですか?(下)

「あ~はいはい。ちょっと黙っててね。乱暴するつもりはないからさ~」

「六花!?」

 銀髪の人が六花の腕を掴んで攫って行く。

 思わず呼びかけたけど、その瞬間銀髪の人の表情が固まった。

「え、リッカ…。へぇ、キミかぁ。俺らの邪魔してくれたの」

 銀髪の人の声が急に低くなる。

 六花を見るその目は憎悪の色に染まっていて、殺してしまいそうな雰囲気を漂わせる。

「ッ…あ、秋奈逃げて…」

 こんな状況でも私に逃げろと言う六花は銀髪の人に拘束されてしまう。

 六花を助けようと動こうとしたのに、すぐ目の前から拳が飛んできて咄嗟に避ける。

 壁が崩れる音がすぐ耳元で鳴る。

 顔を上げれば、キョウヤとまっすぐ視線が重なった。

「夏樹の居場所を吐け。痛い目合わねぇとわかんねぇか?」

 怖い。体が動かない。

 首にナイフを突きつけられているような緊張感が全身の筋肉を緊張させてしまってるみたいだ。

 この人たちは夏を探している。夏をこの人たちに渡せば何もされない。

 頭では分かっているのに、心は強い。

 絶対に言わない。その決意だけはぶれなかった。
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