私たち暴走族と名乗ってもいいですか?(下)
「…知らない」
「あ?」
「…夏樹はここにはいない。帰ってください」
半部嘘で、半分本当。
ここにいないのは事実だ。
瞬と夏が帰ってくるまでにこの人たちが帰ってくれれば、この場はしのげる。
まっすぐ睨みつける。
逃げちゃダメだ。この人たちに夏を渡せば、夏はここに帰って来れないかもしれない。
そんなの、絶対に嫌だ。
キョウヤはしばらく私を睨んでいたけど、その目を不意にそらす。
「やれ」
「はいよ」
「ッあ…」
「六花!?」
それまで何もしていなかった銀髪の人が六花の首に腕を回した直後、その首を絞めはじめる。
苦しげに顔を歪める六花を見てもキョウヤも、銀髪も何も表情を変えない。