私たち暴走族と名乗ってもいいですか?(下)
キョウヤの手に残った木刀はあまりにもあっさり、そして簡単にへし折られる。
床に放られた木刀には目もくれず、キョウヤはまっすぐ私に向かってくる。
覇気に飲まれるな。
いくらそう己に命じても体中が緊張して動けなくなる。
「逃げてんじゃねぇよ!!」
怒鳴り声と共に振り下ろされる拳を寸でのところでかわす。
遠くで六花が悲鳴を上げてるような気もしたけど、余裕がなくて全然状況を見ることが出来ない。
逃げて、逃げ続けて、後ろに下がった時、急激に落ちる感覚に襲われる。
まるで落とし穴にでもはまったかのように、言いようのない浮遊感が気持ち悪い。
動きがスローになり、2階が遠のいていくのを確かに見ていたはずなのに、後頭部に突如激痛が走る。
それを痛いと思う余裕もなく、気づいた時には全身に痛みが走り、動けなくなっていて、目の前にあったのは多分階段だった。
あぁ、階段から落ちたんだってぼんやりした頭の隅で妙に冷静に判断で来た。