私たち暴走族と名乗ってもいいですか?(下)
「呼んだのはね。みんなの夏服今更だけどできたから着てもらおうと思って」
「えぇ!?夏服なんかあるんですか?」
「とは言っても、薄手のパーカーだけどね」
「見せてください!」
じゃーんと言いながら段ボールから出して見せてくれたのは、白色でフードつきのパーカーで、前にチャックがついてた。
背中に今までと同じように志季と誕生月の季節に合わせた絵柄がプリントされてる。
「わぁ、これで汗まみれにならずに済む…!」
「秋奈ちゃん着てみて」
「はい!」
早速黒ジャージを脱いで、新しいパーカーに袖を通す。
ジャージよりずっと薄いし通気性もいいのか随分涼しい。
「どう?」
「涼しいです!みやさんありがとう」
「いえいえ。それね、秋奈ちゃんのお父さんが何とかしてあげれないかって相談してきたのよ。だから、お父さんにもお礼言ってね」
お父さんいつの間に…。
なんだか心があったかくなって、頷いた。