私たち暴走族と名乗ってもいいですか?(下)
兄貴がうるさいとでも言うように眉間にしわを寄せる。
殴られようが、殺されようが、あっちにこいつらを、秋奈を連れて行くわけにはいかない。
「…っは、俺に刃向うのか?」
「こいつらを連れてくって言うなら、殴ってでも止める。戻るって言ってんだからいいだろ!気に食わねぇなら、サンドバックにでも、薬漬けにでもすればいい!」
俺がどうなろうと構わないから、こいつらだけは…。
兄貴はしばらく俺を睨んできたが、舌打ちすると担いでいた秋奈を床に放る。
それを見たリツキと名前知らねぇ奴も、少しつまらなさそうに六花と沙緒を離した。
「行くぞ」
裏口に向かって歩き出す兄貴の背を追いかけて足を止める。
目を覚ます気配がない秋奈と瞬桜に対して、紀仁たちは少しずつ意識を取り戻してるらしい。
このまま、2人に何も言わないまま去るのが急に怖くなる。
俺を助けてくれた2人に何も返せてないのに、ただ迷惑かけただけで、もう二度と会えなくなのが怖い。