私たち暴走族と名乗ってもいいですか?(下)

 1番怪我が酷かった秋奈は、真っ先に救急搬送された上、手術室に連れて行かれた。

 出てきたのは1時間後。だけど、それから秋奈の意識は戻っていない。

 初めは酸素マスクまで付けられていたけど、昨日の朝には外れていて、目を覚ますのを待つしかないと秋奈の親は言ってた。

 だけど、瞬桜にも言えなかったけど、秋奈が目を覚ますかも分からないこと、目を覚ましたとしても、何らかの障害が残る可能性があることは病室の外でたまたま聞いてしまった。

 階段から落ちた衝撃が想像以上に大きかったらしい。

「瞬桜、準備できた?あら、六花ちゃん。いつもありがとうね」

「いえ…」

 話を聞き終わったらしい瞬桜の両親が顔を見せる。

 瞬桜はカバンを見せてそれに答え、父親が瞬桜のカバンを持った。

「瞬桜、松葉づえちゃんと使いなさいよ」

「いらないって言ってるだろ」

「ダメよ。本当なら車いすに乗ってもいいって先生言ってたのに」

「普通に歩ける」

 流石にこんな時は過保護になるのは当然だ。

 打撲とはいえ、臓器損傷1歩手前の怪我を負っていたんだから。

 親の過保護をめんどくさそうにしてる瞬桜の表情は少し険しい。
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