私たち暴走族と名乗ってもいいですか?(下)

失ったモノ 瞬桜side


 秋の手を握りながら春馬と話をしておばさんが戻ってくるのを待つ。

 六花は立ったままだたけど、昨日もいすに座れと何回も言ったのに聞かないから諦めた。

 あの金髪の男にやられたらしい秋奈の右の人差し指は骨折していて、手を握りにくい。

 だけど、手を握らずにはいられなかった。傍にいるからって伝える術がこれ以外に浮かばなかったから。

 なぁ、秋…。もう、怖い奴はいないから、怖いなら、また一緒にゆっくり始めよう。今度こそ守り抜くから…。

 だから、起きてくれ。また、一緒に笑おう。なぁ、秋…。

 秋の顔を見て苦笑する。起きるわけないか…。

 不意に腹の音が聞こえてくる。見れば春馬が顔を真っ赤にさせてた。

 なんで我慢してんだよ。こいつは…。

「春馬、飯食ってこい」

「う…は、はい。…瞬桜さんと六花さんなんか飲みます?ついでに買ってきます」

「気にしなくていいから。ゆっくりして来い」

「はい…」

 苦笑いで席を立ちあがろうとした春馬は、手を離しかけてはっとした顔で秋を見る。

「姉ちゃん?…姉ちゃん!?」

「え!?」
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