私たち暴走族と名乗ってもいいですか?(下)

 秋の記憶が戻りそうにないのを見て、六花にはこっそり夏樹が隠していたことを聞いた。

 あの日、俺たちをやったのは、夏樹の実の兄で、山下恭也と言う名前で20歳であること。

そして、一緒にいた男たちはこの近辺では悪名高い暴走族紫炎のメンバーであること。

夏樹の兄はそのチームの総長らしい。

 夏樹は2年前、俺たちに出会う少し前にそのチームから失踪。

そして放浪していた時にたまたま俺たちと出会い、ここに留まっていたこと。

 夏樹は、俺たちに本物の暴走族に関わっていた過去を知られたくなかった。

だから、ずっと黙っていたらしい。

俺たちが知って、離れていくのが怖かったから…。

 六花は、夏樹のことが気になって(俺たちのこともだけど)ハッキングしていろいろ知ったらしい。それを夏樹に問い詰めた。

そして、教えてもらった代わりに六花はネット上で夏樹に関する情報を徹底的に隠した。

 六花が携帯をずっと触っていたのはありとあらゆる方法で夏樹の情報をひた隠しにしていたかららしい。
< 84 / 341 >

この作品をシェア

pagetop