私たち暴走族と名乗ってもいいですか?(下)
嘘つきの理由
2人とも酷い。すぐわかるような嘘ついて、誤魔化せたって思ってるのバレバレなんだから。
自分の部屋に戻っていすに座る。
もう、お母さんもお父さんも春ちゃんも嘘つくから瞬と六花に聞こうと思ったのに、2人まで嘘つくんだもん。
夏がいなくなった訳を結局探れないままだ。
それにしても、記憶が戻らないこともだけど、声すら戻らない。
そのうち戻るだろうって言った先生すら視線を合わせてくれないなんて、どうすればいいって言うのさ。
最後の記憶は、六花とたまり場に行って、みんなと話していたところまで。
そこから病院で目覚めるまでの間の記憶がきれいさっぱりない。
思い出したら声も戻るのかな?思い出したら、みんなが嘘つきなのも変わるかな?
たまり場行きたいけど、お母さんが行かせてくれないし、やたら過保護だ。
まるで、思い出させたくないみたい。でも、思い出さなきゃいけない気がする。
何か大事なことがあったのかもしれない。
思い出したら、夏がいなくなった理由も分かるかもしれないのに。
喉に手を当てて、口を開ける。
「……………」
やっぱりダメだ。息が漏れる音がするだけ。
声って、どうやって出すんだったっけ…。
当たり前のこと過ぎてどうやっていたかなんて分からない。