夢の続きは隣の部屋で…
「私、東京初めてで、すっぴんとか失礼なのかなって思って、、」
指と指の隙間からちらっと見えたたくとの表情は、先ほどまでの険しい顔ではなく、すこし呆れた顔にも見えるようなそんな表情だった。
「じゃ、俺もう行くから」
そう言うと、たくとはその場を去ろうとした。
「ちょ…っ!まったー!!」
咄嗟にたくとの前を塞ぐように立つと、乃里花は出来る限りの笑顔を作った。
「あのさ、よかったら名前、教えてくれない?」
第一印象は大事!(…といっても今さらだけど)って中学の先生が言ってた。
そして出来れば目の前にいる彼と知り合いになって、昨日から続くこの負のスパイラルを脱したい。
「あー、、沢城…だけど」
「沢城…たくと、さん??」
「なんで名前しってんの?」
「昨日彼女さんが言ってたじゃん、聞いてたよ」
「あぁ…」
乃里花の隣の部屋に住むたくと…改め、沢城拓登(さわしろ たくと)は、乃里花の1つ年上で、今度高校2年生になるらしい。