夢の続きは隣の部屋で…
片づけも終わりが見えてきて、そろそろ乃里花の母も帰らなければ終電が近くなってきた頃、
「ちょっとお母さん、噂のお隣さんに挨拶に行ってくるわ~」
「えっ、行くの??」
「だってこれから乃里花がお世話になるでしょ~?挨拶くらいしとかないと失礼じゃな~い♪あっ、でも東京での1人暮らしは常に危険と隣合わせよ、特に女の子はね、そう簡単に挨拶しに行くもんじゃないわ。もしお隣さんが危険な人だったら…ね、ってことで行ってきまーす!」
乃里花の母はウキウキと玄関に向かうと、1人で拓登のもとへ向かった。
「ちょ…もう、勝手なんだからぁ」
まぁお母さんにも知っておいてもらったほうが、万一トラブルが起きたときに対処しやすいかな?そう思って、乃里花は再び片づけを再開した。
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5分くらいして乃里花の母は帰ってきた。
「ただいまー。思った以上に長話しちゃった。久しぶりに拓登くんに会ったからつい盛り上がっちゃって~」
「えっ、どういうこと?お母さん知り合いだったの??」
挨拶に行くだけで5分は流石に長い。そう思ってはいたが、お話し好きの母親はこんなものだろうと気にしていなかった。
だが、母の口からまさかの一言が発せられた。
「お隣の子、あなたが大好きなたっくんよ」