夢の続きは隣の部屋で…

「えっ…」

乃里花の頭は一瞬でパニックになる。

「そんな、、だって彼は沢城で、たっくんは『すどう』でしょ?」

「沢城は拓登くんのお母さんの旧姓。詳しくは聞かなかったけど、ご両親が離婚かなにかしたのかしら。乃里花が名前を言ったときにまさかとか思ったんだけど、本当にあの拓登くんだったなんて~」

まだいまいち状況を理解できていない。

えっと、お隣の沢城拓登がたっくんで、たっくんは今は沢城で…あの昨日から厳しい眼差しで私を睨み付けてた彼が、、たっくん…!?!?

「いやいや、うそうそ!!人違いだよ!!だって、たっくんはもっと優しいもん!」

「人間なんて10年も経てば色々変わるわよ。でもまぁ、あれね、彼はいまいち昔のこと覚えていないみたいだったから、このままなかったことにしちゃえば良いと思うわ~」

「えっ…覚えてないって…」


乃里花の胸がキュッと痛む。
沢城拓登がたっくんだったショックより、たっくんが過去を覚えていないことのほうが、ショックは大きい。


もしかして、10年前の約束も覚えていないのかな…??
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