夢の続きは隣の部屋で…
乃里花の母は明日また仕事があるからと、終電で帰って行った。
と言っても乃里花のマンションから実家までは電車を継ぐこと2時間半、22時前には出ないとたどり着かない。
母が帰ったあと、乃里花はベッドに横になり、拓登のことを考える。
「本当にあの人がたっくん…」
考えれば考えるほど頭が混乱してくる。
「ん~~考えたくないよう。でも、、この壁の向こうにたっくんがいるの…?」
ベッドが置かれている部屋の壁の向こうは、ちょうど拓登の部屋に繋がっている。
なにげなく耳を壁にあててみた。
「なーんて、なにか聞こえるわけ…ないか」
もしかしたら壁の向こうの声が聞こえるかもなんて期待したが、思った以上にマンションの防音性能は良いらしく、なにも聞こえてこなかった。
「だめだめ!ちょっと頭冷やしてこよ…」
乃里花は勢いよくベッドから起き上がると、ベランダに向かった。