夢の続きは隣の部屋で…
試着室から出ると、近くの棚にある服を畳んでいた先ほどの店員が再びやってくる。

「お疲れ様でした~。ほかにもご覧になられますか?」

「あっ、いっいえ…」

相手の正体に気が付いてから、おもむろに視線も会話がぎこちなくなる。どうやら店員の女性は、乃里花のことが分からないようだ。

「ではレジまでお待ちしますね、ありがとうございます。」

ふと店員の胸元についた名札が目に入った。
『荒井麻衣』、乃里花は名字が沢城でも須藤でもないことにドキドキしつつ、レジで会計を済ませ店を後にした。


昨日の、、やっぱり大人のひとだったんだ。荒井ってことは、お姉ちゃんとかじゃないよね。しかも近くで見てもものすごい美人さん…あの人も彼女?えっ、でも、そしたらこの前の女子高生は??
たっくん、なにしてるの!?


街を歩きながら頭がどんどん拓登のことでいっぱいになる。乃里花は焦る気持ちを抑えきれず、そのまま真っすぐ家へと帰った。

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