夢の続きは隣の部屋で…
「あいつ、ただの寂しがりなだけでさ。うちら同じ中学だったんだけど、中2のときに両親が離婚して、最初は母親と2人で暮らしてたんだけど、男作ってから毎月余るほどの金を口座に振り込む代わり帰ってこなくなったみたいで…」

「そう…なんだ」

知らなかった過去に、乃里花の胸がキュッと締め付けられる。
悠果も少し切なそうな表情になるが、さらに話を続ける。


「1人でいるのが寂しいんだろうね。最初は中学の友達何人も誘って毎晩ばかみたく遊んでただけだったのに、いつの間にか女に手だすようになって…周りからも孤立しだしてね、、、でも、なんか放っとけなくて…私が一方的に拓登のとこに来てるってか……

あっ、、ごめんね、こんな話して!!乃里花には関係ないもんね??……って乃里花?泣いてるの??」


悠果の話を聞いてるうちに、乃里花は涙が抑えられなくなっていた。離れ離れになってから10年。約束を忘れず呑気に生活してきた乃里花とは違い、拓登は想像していた以上に苦しい思いをしてきたのだろう。


「なんでもない。ごめんね悠果、大丈夫だから」

「なんでもなくないよ!?私なんか変なこと言った?」

「ううん、本当に大丈夫だから、、化粧落としておいて良かったー。びっくりさせてごめんね?」

乃里花はゴシゴシと顔を拭くと、ニッコリ作り笑いを見せた。


「もぉー。感情移入しすぎ!責任とって今日は泊まってくから!!一緒に夕飯の買い出し行こっ!」

そういうと悠果はオレンジジュースを一気飲みし、スクッと立ち上がる。

「乃里花は化粧しないほうが可愛い!!だからこのまま行きまーす!」

「えっ、でも…」

悠果は乃里花の腕をグイッとつかむと、買い物へを連れだした。


その日の夜は、お互いのことだけでなく、好きな芸能人やお気に入りのファッション、他愛もない話で盛り上がった。

「私さ、本当はもっと派手な恰好したいんだけど、拓登は見かけによらず清楚なお嬢さん系が好きみたいでさ、仕方なく黒髪にしてるんだよね」

ふと、悠果が言った言葉が、乃里花の心に強く残った。



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