夢の続きは隣の部屋で…
新たな出会いと
「どう?私どっからみても高校生?」
「そうね~、少し見ない間に化粧なんか覚えちゃって。乃里花も立派な女子高生ねぇ」
乃里花の入学式に出席するため、わざわざ有給休暇を取得して駆け付けた母と共に、高校へと向かう。高校までは電車で3駅、このあいだ乃里花が行った繁華街とは逆方面にある。
あれから拓登にも悠果にも会っていない。ここ3日ほどは乃里花にとって東京に来て初めて平和に過ごすことが出来た。
「そういえば拓登くんとは何か進展あった??」
「えっ…、ってうわぁぁ!!」
駅のホームへと向かう階段を上っているとき、急に乃里花の母が拓登の話題を振るもんだから、乃里花は動揺して階段を踏み外し転びそうになる。
「だ、大丈夫ですか??」
体が後ろへのけ反り階段から落ちるかと思ったが、誰かに右腕を支えられその場に留まることが出来た。
「あっ、ありがとうございますっ!」
乃里花が振り返ると、そこには男子高生らしき青年が立っていた。
綺麗な栗色のマッシュヘアで、くりっとした瞳が特徴的、かといって決して女らしいわけでもなく背は高くて体つきもしっかりしている。
「良かった、気を付けてね」
男子高生はニッコリ笑うと、そのまま階段を上りホームへと消えていった。
「乃里花、だいじょうぶ?…じゃ、なさそうね、、色々と」
乃里花の母は大きくため息をついた。