夢の続きは隣の部屋で…
「よし、ひとまず今晩は寝られそうね。じゃあ、お母さんたちは一度家に帰るわね。また明日、仕事が終わったら来るから」
入学を来週に控え、乃里花は両親とともに新居への引っ越しをしている最中。
フルタイムで働く両親は、一通りの片づけを終え、夜も遅くなってきたので家へと帰るようだ。
「うん、お父さん、お母さん、ありがとう!」
「今日から乃里花も一人暮らしだな、、くれぐれも、変な事件には巻き込まれないよう、学校が終わったら遅くても18時には家に帰るように。しっかり戸締りしてドアチェーンは忘れずにな。それから…」
「もう、お父さんったら心配しすぎ!そもそも愛娘に東京の高校行くなら一人暮らしせいっ!って言ったのはお父さんでしょ?だいじょうぶだって!!私もう15歳だよ?」
「そっ…そうだな」
その変な自信が一番心配なんだよ、と言いたいところだが、父は娘が決めた進路に文句を言わないことにした。
「じゃ~ね~!!ばいば~~い!!!」
乃里花は玄関で大きく手を振って、両親を見送る。
「ふぅ…。私だけの家かぁ…ドキドキしちゃうな。とりあえず、、テレビでも見ようかな、それともシャワー浴びちゃおっかな♪」
初めての自分の城に、乃里花の期待は高まるばかりだ。