夢の続きは隣の部屋で…
拓登の部屋
「ちょっと、片づけるからここで待ってて」
見られたくないものでもあるのだろうか、拓登は玄関先に乃里花と颯太を残して部屋に入っていく。
「そういえば乃里花ちゃんはどこに住んでんの?この辺で一人暮らしが出来るマンションってここくらいしか……ってゴメン、電話だ」
颯太が話していたそのとき、颯太のケータイが大きな音で鳴りだした。
「はいはーい!…えっ、うん、ちょうど拓登の家に来てるけど……おぉ、マジで!!俺もいて良いの!?行く行く!!…あっ、そだ、さっき悠果と同じ高校の1年生と知り合いになって、良かったらその子も…よしっ、じゃあ聞いてみるね。……うん、分かった、拓登にも言っとく。はーい、じゃね~」
颯太は電話を切ると乃里花に話を続ける。
「なんかね、今日の夜、拓登の隣の部屋に引っ越してきた子の入学祝いやるんだって!乃里花ちゃんも一緒にどう?」
「えっ…あっ、はい。というか…」
乃里花が話を続けようとしたとき、キッチン、そして洋室へと続く部屋のドアが開き拓登が顔を出す。
「いいよ」
「拓登おせー!ちゃんと隠すもの隠しといたか?」
「うるせー」
というか、その隣に引っ越してきた子は私なんです。
なんとなく言い出すタイミングを逃してしまった。